つわりで思うように食事を摂る事が出来ないせいか、立ちくらみする事があるのですが、受診した方が良いでしょうか? |
立ちくらみは、赤ちゃんや胎盤のために循環血液量が増えることにより、血圧の調節が悪くなって起きるものです。つわりとは直接の関係はありません。急に立ち上がったり、長く立っていたりすると、血圧が一時的に下がることで立ちくらみが起きます。妊娠中は、薬で治すのではなく、睡眠不足や過労をなくしたり、立ち上がる動作をゆっくりするように気をつけます。受診の必要はありません。(2003.8) |
生理の予定をずらそうと、「プラノバール」という薬を4日程飲んだのですが、その後一週間以上経っても生理が来ず、妊娠検査薬で調べたところ陽性反応がでました。この薬を飲んでしまった事により、胎児への影響は無いでしょうか?インターネットで色々調べたのですが、妊婦禁忌薬となっているので不安です。 |
プラノバールの胎児への影響は全くありませんので、心配いりません。 30年以上前は、黄体ホルモンが胎児の心臓病を増やすのではないかという考えがあり、そのために妊娠中禁忌になっているのだと思います。その後の研究で間違いであることが認められているのですが、説明書はずっと変わっていません。説明書の内容を安全であると変更するためには、メーカーにとって多くのデータと多額の費用がかかりますから、ずっと変更されないのだと思います。今では、不妊治療などにも使われる薬剤ですから、安全と考えてください。(2003.8) |
健診で、へその緒が巻き付いていると言われました。先生は「ぜんぜん心配することないよ」と言っていましたが、お腹の赤ちゃんは苦しくないのかな? 本当に大丈夫なのかな? などなどとても心配です。 このようなことは、どうすることもできないのでしょうか? 普段の生活で気をつけることとかありますか? 何かアドバイスがありましたらよろしくお願いします。 |
赤ちゃんの3割は、臍帯が首に巻いています。巻いているからといって、苦しくなることはまずありません。
首に巻いていると、息ができないから苦しいのではと考えていないですか?おなかの赤ちゃんは、呼吸運動はしますが羊水を吸ったり吐いたりしているだけで、呼吸で酸素を吸収しているのではありません。胎盤を通じてお母さんから酸素をもらっているのです。ですからおなかの中で呼吸できなくても苦しくなることはないのです。
気をつけることも、心配することもありません。何かをしたら、さらに巻いたりほどけたりするものではありません。
お産の時に1重や2重に巻いている程度では、ほとんど問題は起きませんが、3重以上巻いている場合は、臍帯が引っ張られて血流が悪くなり、赤ちゃんが苦しくなることがありますので、注意してお産の経過を観察する必要があります。 (2003.8) |
今、妊娠7ヶ月です。 お腹の赤ちゃんの胎動のことなんですが、よく動くときと、あまり動かない時があります。しばらく動かないと、とても心配になります。流産と死産を経験しての妊娠で自分自身とても神経質になっています。 |
赤ちゃんは、20分起きて20分寝るという周期を繰り返しています。 しかし、たまには40分くらい眠っていて動かないこともありますし、起きている20分間にあまり動かなければ、睡眠-覚醒-睡眠の60分間動かないこともあります。それらは異常ではありません。1日中一度も動かないのであれば、もちろん異常ですので、すぐ主治医に相談するべきです。面倒ですが、テンカウント法で毎日胎動を確認するのも一つかと思います。
妊娠・出産という生命現象は、すべてがうまくいくものではなく、流産や大部分の死産は、いくら注意しても前もって回避できるものではありません。心配ばかりしていても自力で結果を変えることはほとんどできませんので、心配するよりも明るく楽しい妊娠生活を送った方が得だと思います。逆に、産婦人科医はいつも最悪の状態が起きることを考えて診察しています。いつもうまくいくなんて考えていたら、急に悪くなった時の対応が遅れますから。ですから、そんな心配は主治医にまかせた方が楽しく過ごせるのではと思います。(2003.8) |
昨日、妊娠6週と診断されましたが、「左の卵巣が直径6センチに腫れている。おそらく小さくなると思うが、4ヶ月ごろになっても小さくならない場合は手術をしなくてはなりません。」と言われました。原因は何なのでしょうか。 |
妊娠初期の卵巣嚢腫の多くは、黄体嚢胞といって、妊娠のホルモン(HCG)の刺激で一時的に腫れるものです。4-5ヶ月までに消失します。消えない場合は、卵巣嚢腫が妊娠前よりあったということです。その場合、大きさや悪性の可能性があるかなどを判断して妊娠中に手術するかどうかを決めることになります。(2003.8) |
実家が遠いので、飛行機で里帰りをしようと考えています。飛行機の搭乗は診断書が必要ですか? |
国際航空運送協会(IATA)医療委員会の勧告(1980)では、次のような規定になっています。
1.分娩予定日から7日以内の妊婦の場合 ・診断書(搭乗日から7日以内の発行のもの)および誓約書の提示 ・医師の同伴
2.分娩予定日から4週間以内の妊婦の場合 ・診断書(搭乗日から7日以内の発行のもの)および誓約書の提示
3.生後7日以内の新生児は搭乗拒否 したがって妊娠36週未満は診断書なしで飛行機に搭乗できるのが一般的ですが、それ以降のPL法の普及に伴い航空会社各社で方針が変わってきています。搭乗予定のそれぞれの航空会社に問い合わせてご確認ください。(2003.5)
JALの場合 http://www.jal.co.jp/help/ のページからQandAの[国内線] -[予約]-[19.妊娠していますが、飛行機に乗れますか?] の順にご覧ください。 |
一人目の時はなかったのですが、二人目の今回はふくらはぎに静脈瘤ができてしまい、出産がすごく心配です。静脈瘤は難産につながったり、出産時に破裂するって聞いたんですが本当でしょうか? |
静脈瘤は、子宮の圧迫によって子宮より下方の血液の戻りが悪くなり、静脈が腫れるものです。妊娠を重ねることで悪くなります。静脈瘤が難産につながることはありませんが、腟壁の静脈瘤が切れて出血の原因になることはまれにあります。しかし、それほど心配なものではありません。悪くならないように予防するには、サポートタイプのストッキングを常用する方法がありますが、医療用のものは分厚いので夏は暑くて履けません。立っていることで悪化しますから、時間があればできるだけ脚を投げ出したり、横になったりするしか方法はありません。お産のあとは、血栓症に気をつける必要がありますので、当院では空気圧で足先から順にマッサージする器械で予防しています。(2003.8) |
カンジダ膣炎と診断され、治療しました。洗浄と腟錠の使用は赤ちゃんに影響はないでしょうか? |
カンジダ腟炎は、腟カンジダ症とも言い、カンジダという真菌(カビ)が腟に拡がり、酒粕、粉チーズ、ヨーグルト様の帯下(おりもの)が増えて、かゆくなる病気です。カンジダ菌は、健康な人でも、避妊時で10%、妊娠中は30%が腟内に存在し、糖尿病があったり、抗生物質を内服すると増加します。ですから、妊娠中にとてもよく起こる病気です。治療が赤ちゃんに影響することは100%ありませんし、治療しないとまれにお産の時に赤ちゃんに移ることがありますから、ちゃんと治療を受けてください。(2005.5) |
現在、妊娠20週です。私も主人もアトピーがあります。両親ともアレルギー体質なので、赤ちゃんもアレルギー体質になる可能性はあると思うのですが、なるべく赤ちゃんがアレルギー体質にならないように予防できる方法があれば教えてください。 |
以前に、妊娠中からにアレルギーの原因物質を控えれば、赤ちゃんにアトピーが出ないと言われて、そのような治療がはやったことがあります。しかし、そのような治療はあまり意味がないと現在では考えられています。
親子で顔や体型が似るように、体質も当然遺伝します。ですから、それを避けることはできません。両親ともにアトピーであれば、残念ながら子供もアトピーになる確率は高くなります。通常は、子供にアトピーが出た時点で、アレルゲンを調べて、それを除去するしかありません。両親に共通の原因物質がある場合は、子供もそのアレルゲンに対してアレルギーを起こす可能性が非常に高いですから、妊娠中や授乳中に原因物質を控える価値があるかもしれません。(2005.5)
2005年9月に妊娠中や授乳期の除去食について、日本小児アレルギー学会から予防効果はないと発表されました。
以下の記事をお読みください。
子どもの食物アレルギー、学会が指針まとめる(2005.9.2 朝日新聞より)
子どもに多くみられ、卵や乳製品などを食べるとじんましんや呼吸困難を起こす「食物アレルギー」について、日本小児アレルギー学会(理事長・西間三馨国立病院機構福岡病院長)が初めて診療指針をまとめた。アレルギーかどうか分からないうちに、食品を控えさせる事例もあり、医療現場や家族の間で混乱が生じているためだ。また、妊娠後期や授乳期の母親が除去食を勧められるケースが多いが、「子どもへの予防効果はない」とした。厚生労働省研究班の調査によると、食物アレルギーは、乳児が10%、3歳児が4~5%、学童期が2~3%の割合でいると推定されている。また、アレルギーがアトピー性皮膚炎を誘発するといわれているため、親が勝手に判断し食品を取ることを控えるケースも多いと専門家が指摘していた。指針によると、アレルギーと診断するには、まず親が毎日何を食べて、どのような症状が何時間後に出たかを記した食物日誌をつけたうえで、医師が問診で原因を推定。あわせて血液などによる検査を行う。原因と推定された食品を含まない食事にして症状の改善を確認したあと、この食品を微量に含んだ食事(負荷試験)をして特定する。負荷試験では、卵ならかたゆで卵の卵黄16分の1から、乳製品はヨーグルト(ミルク)4分の1さじから、小麦はうどん3~5センチ大1本から、それぞれ15~20分間隔で倍量にして症状を見る。食物アレルギーは、年齢重ねるごとに体内に耐性ができて食べられるようになる子が多い。そのため、アレルギーと判断されても、12~18カ月ごとに、チェックするよう目安を示した。また、臍帯血(さいたいけつ)のなかの抗体を検査し発症を予知することは、「予知する感度が低く単独では勧められない」とした。 |
今、妊娠24週です。1ヶ月ほど前から手のしびれを感じ始めたのですが、最近、右手のしびれがひどく、細かい作業が困難な程になってきてます。ひどい時は、手が熱く燃えている感じになって、明け方に目が覚めてしまう時があります。一度、整形外科に見てもらおうかと思うのですが、レントゲンあるいは、MRIなどを受けてもよいのでしょうか。 |
おそらく手根管症候群だろうと思います。正中神経は、親指から薬指の知覚と親指の運動をコントロールする神経で、手首で骨と靭帯に囲まれた手根管という狭いトンネルを通過します。妊娠や骨折による手首のはれにより手根管内で正中神経が圧迫され、主に人差し指から薬指の親指側半分がしびれます。これを手根管症候群といいます。明け方にしびれで目が覚めるのも特徴のようです。治療としては、手根管内の腫れがひどくならないように減塩食をしたり、神経が圧迫されないように手首を動かさないようにします。妊娠、出産後の手根管症候群は保存的な治療法でほとんどの例が軽快します。
琉球新聞に掲載されている金谷文則先生の説明がよくわかると思います。 http://www.okinawa.med.or.jp/old/ippan/kenkou/970822.htm
症状が強ければ、整形外科で診ていただいてください。MRIもレントゲンも大丈夫です。(2005.5) |