妊娠初期の栄養について

妊娠初期の栄養についての大切な注意ですので、お読みください。妊娠中の食事と赤ちゃんの先天異常の関係が指摘されている栄養素があります。葉酸の不足、ビタミンAや水銀の過剰摂取などですが、特に葉酸は、妊娠中だけではなく、妊娠前からの摂取が勧められています。今日から葉酸摂取に努めてください。

1.葉酸の摂取について
  先天異常の中で、二分脊椎・無脳症などの神経管閉鎖障害は、日本では赤ちゃん1万人に7人(2004)とそれほど多い奇形ではありませんが、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで1日400 μg(マイクログラム)の葉酸摂取を続けると 1/3 程度に減少することがわかっています。さらに、葉酸摂取は赤ちゃんの口唇裂・口蓋裂や心臓の奇形も減らす効果もあります。葉酸は、ビタミンBの一種で、ほうれん草、グリーンアスパラガス、ブロッコリー、いちご、かぼちゃなどに多く含まれています。計算上は、野菜を毎日350 g程度食べれば、葉酸400μgの摂取が可能です。しかし、最近の研究では、サプリメントの葉酸と食品の葉酸は型が違い、サプリメントと較べて、食品の葉酸は非常に吸収が悪いことが明らかになりました。ですので、葉酸はサプリメントで補うことをお勧めします。赤ちゃんの神経管障害の予防には妊娠3ヶ月までの摂取で大丈夫ですが、葉酸必要量は妊娠全体を通じて1日400〜440 μgであり、貧血の予防効果もありますので、妊娠3ヶ月以降続けることもよいと思います。ただし、摂取量は、1日 1000μgを越えないようにしてください。

2.動物性ビタミンA(レチノール)の過剰摂取について
  ビタミンAは妊娠中も必要なビタミンですが、妊娠3ヶ月までの過剰摂取により赤ちゃんの耳の形態異常が増えることがわかっています。妊娠中の必要量は1日2000 IU(600μg)で、上限は1日 5000 IU(1500μg)です。ビタミンAは、通常の食事では、過剰摂取になることも不足することもありませんが、ビタミンAを含むサプリメントにより過剰摂取になる可能性があります。ビタミンAには、動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜に含まれ体内でビタミンAに変わるβ-カロテン(β-カロチンともいいます)があり、過剰摂取で問題になるのはレチノールです。β-カロテンは、ビタミンAの前駆物質であり、ビタミンAが不足すると必要な量だけがビタミンAに転換されるしくみなので、たとえ大量に食べてもビタミンAは過剰にならないので安全です。

    [ビタミンA(レチノール)が多く含まれる食品]

 あゆ(養殖/焼き)  50g

 10000 IU

 あゆ(天然/焼き)  50g

  3300 IU

 うなぎ(蒲焼)     100g

  5000 IU

 ほたるいか(ゆで) 50g

  3200 IU

 鶏レバー          10g

  4700 IU

 あんこう肝        10g

  2800 IU

 豚レバー         10g

  4300 IU

 ぎんたら           50g

  1800 IU

 牛レバー         10g

  4100 IU

 フォアグラ         50g

  1700 IU

※ サプリメントと違い毎日摂取するものではありませんので、食事で過剰摂取に なることはありません。

[ サプリメントの選び方 ]

通常は、葉酸単独のサプリメントでよいと思いますが、つわりや偏食などでビタミンも摂取したい方は、マルチビタミンを購入してください。

葉酸のサプリメント

   
大塚製薬のネイチャーメイドなどの飲む錠剤、明治ビオママのヨーグルト味の食べる錠剤や葉酸入りのお茶などがあります。

マルチビタミン

ビタミンAを含まずに葉酸が含むものを選ぶか、成分のビタミンAがβ-カロテンであると明記してあるものを選んでください。キョーリン製薬の「葉酸+マルチビタミン」(病院にもあります)やピジョンの「葉酸プラス」などがあります。

3.水銀の過剰摂取について

 最近、魚類に含まれる水銀が、魚の種類や摂取量により過剰摂取になり、胎児に影響を与える可能性があるとの警告がなされています。ただし、わが国は、昔から魚を多く摂取する民族であるといっても、通常の食事では、過剰摂取となる可能性は非常に低く、むやみに心配する必要はありません。厚生労働省から、摂取量の目安(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/051102-1.html)が発表されていますので、それを参考にしてください。

具体的な摂取の目安は次のページから、PDFファイルをダウンロードしてご利用ください。
当院受診時には、同じものをお渡ししております。


「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」についてのパンフレット

詳しくは、次のページをお読みください。

「日本産婦人科医会ホームページ」−「情報館」−「先天異常部より」
食事と先天異常  http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/food.htm
葉酸摂取による胎児異常発生予防  http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/yousan2.htm

厚生労働省ホームページ
神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について
         http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1212/h1228-1_18.html

「日本人の食事摂取基準(2005年版)」 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2a.html  食事摂取基準(別添

食品中の葉酸やビタミン(日本食品標準成分表五訂)を調べるときは
食品成分データベース http://food.tokyo.jst.go.jp/

(参考文献)葉酸の重要性 石川浩史 周産期医学 37(5):p555-559 2007